猫又公司


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小説:人災派遣のフレイムアップ

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派遣会社概要:017 『リベンジ騎士団』

【サイト名】
 リベンジ騎士団(オーダーズ)

【代表】
 アカウント名『CSG47』(噂のみ。実在は確認されていない)

【概要】
 派遣業界の暗部、個人に代わって能力者が犯罪を代行する『闇サイト』。
 一時期ネット上の掲示板などを通じて無法者が犯罪を請け負う『闇サイト』が現れたことがあったが、それらのうちの一つが突然変異を遂げたと思われる。
 同じく犯罪に荷担する海鋼馬は、法人や資産家、地下組織を主な顧客とし、それゆえに業界の不文律『仁義』が介在し、ある程度の交渉の余地がある。
 しかし個人を顧客とするリベンジ騎士団は業界の『仁義』に一切頓着せず、『顧客の希望である』事を大義名分とし、罪なき一般人であろうと傷つけ、さらい、時には命も脅かすならず者の集まりである。
 世間に対する派遣業界、異能力者達の信用を脅かす存在のため、派遣会社各社がこのサイトの正体を追い、構成員を狩っているが、依頼は暗号メールと電子マネーだけで行われており、末端の所属メンバーを捕まえても実態の解明には至らない。
 所属メンバーの規模は不明だが、ほとんどはまともな派遣会社に所属できない三下、あるいは『力は好き勝手に振るいたいが、面倒くさい仁義に縛られるのは嫌だ』という者ばかり。
 忌むべき事だが、通常の派遣会社に所属していながら別名義でこちらにも所属し、裏で仁義にもとる非道を行っている者もいるとの噂もある。

【所在】
 事務所や社長、社員の所在等々一切不明、ウェブサイトすらも持っていない。
 一般世間に埋もれている、強い恨みや怒りを抱え込んでいる個人をどうやってか見つけ出し(異能力が用いられていると推測される)、メールやSNSで接触。
 『貴女の恨み、晴らしてあげますよ』『今こそ社会に正義の鉄槌を下すべきです』などと誘惑し顧客とする。
 個人が顧客となるため報酬額は他社のそれに比べ格段に低いが、それでも任務を受けたがる者は少なくないとされる。

【業務】
 個人が抱える恨みや怒りの代行。
 とはいっても殆どが、『俺を振ったあの女を破滅させてくれ』『俺が入社できなかったあの会社を潰してくれ』など、明らかな逆恨みばかり。
 反社会的な依頼内容と、自制心に乏しい卑劣な異能力者達、そしてこの『リベンジ代行』という大義名分が揃うと、容易に度を超した犯罪や暴走が発生する。
 彼らと事を構えるときは、世間から見ての仕事としては小規模ながら、うずまく個人のエゴや情念といった、生々しいものと向かい合わざるを得ないだろう。
カテゴリー:_設定資料_派遣会社紹介 | タグ:
|コメント(-) |トラックバック(-) | 2016年11月22日 (火)01時59分

登録社員名簿:086 『赤髭蛮王』カイリ・マカリスター

「では、鋭意努力させて頂きます」

【名前】カイリ・マカリスター
【通り名】『赤髭蛮王(バルバロッサ)』
【所属】フリー(独立)
【年齢】26歳
【容姿】燃えさかるような赤毛の女性
【正業】エージェント専業
【経歴】
 ランカーエージェント、世界一位。
 現時点で「最強のエージェントは誰か?」と問われればとりあえず彼女の名が上がる「魔法剣士」。
 もともとは欧州から北米に移民した魔術師一族の末裔で、代々魔術を用いた様々な稼業に勤めてきたが、派遣業界の成立とともにエージェント専業の一族となった。
 カイリも幼少の頃から任務に参加。
 任務で出会ったエージェント達の技を貪欲に身につけることで頭角を現し、若くしてランカー一位に登り詰めた天才。
 戦闘、魔術、調査、交渉なんでもこなす万能エージェント。
 他のランカーが程度の差こそあれネジの外れた面子なのに対し、彼女自身の人格は驚くほど普通にして常識人。
 ランカーについても、日々の任務を真面目にこなしていた結果として辿り着いたという程度の認識である。
 ちなみに他のランカーからは「つまんねえ奴」「ちょっとキャラ薄くない?」「もっとはっちゃけてもいいのよ」などのコメント多数。

 ランカーになってから跳ね上がった貯金額の扱いに戸惑っており、とりあえず実家を新築したりなどの家族サービスに努めている。
 
【スキル】
『魔術』
 地水火風、光闇霊呪、調査解析魅了抗呪諸々、広大にして万能の魔術の大半をほぼ知識・実践マスターしている。
 先祖から受け継いだものも多いが、任務で同行したエージェントのそれを見て学んだものも多く、本人曰く「体系立てられていないごった煮」。素養と努力に支えられたそれは、いずれもハイレベルな威力と精度を誇る。

『武芸百般』
 元々は実家に伝わる退魔の剣術。
 本来は魔術が使えないときの護身用程度の者だが、こちらも出会ったエージェント達との実戦により磨き抜かれており、並の達人程度ではとうてい太刀打ちできない技量に達している。
 槍、斧、弓等もかなりの練度で使いこなす。

『魔法剣』
 武器と魔術の複合技。
 剣に炎や雷を纏わせ切りつける、『護りを打ち破る』という概念を乗せる事で呪術や状態異常の成功率を上昇させるなど。
 戦術パターンは武器と魔術の組み合わせに応じてほぼ無限に存在する。

『学習と戦闘経験』
 ある意味彼女の最強のスキル。
 彼女自身の能力は強力であるが奇異ではない。
 しかし若くして歴戦の彼女は敵の不意打ちには慣れており、いわゆる「初見殺し」や「ハメ技」系の能力をかなりの確率でかわしてのける(レジスト、即死回避系のマジックアイテムもいくつか所有していると推測される)。
 そして二回目からは自らの豊富な戦闘パターンから最適解をはじき出し、完璧な対策をしてくる。
 剣を封じても拳で、魔術を封じても知識と知恵で難局を切り抜ける、あるいみエージェントの鑑。
 
 チート能力はない代わりにメタ対策が出来ない。
 情報流出が激しいランカーにありながら上位をキープできている由縁。
 彼女と事を構えるならば、同格のランカーエージェントを複数雇って実力勝負ではねのけるのが最適、かつほぼ唯一の方法である。
カテゴリー:設定資料_キャラ名鑑 | タグ:
|コメント(-) |トラックバック(-) | 2016年11月20日 (日)14時05分

登録社員名簿:085 『救いの天使』滝沢 登之勝

「よう、よく頑張ったな。家まで送るよ」

【名前】滝沢 登之勝(たきざわ としかつ)
【通り名】『救いの天使(エンジェルセイヴァー)』
【所属】ICSSSA
【年齢】62歳
【容姿】昭和刑事ドラマの俳優を彷彿とさせるナイスシルバー
【正業】ヘリパイロット
【経歴】
 高校卒後すぐに自衛隊に入隊。ヘリパイロットに抜擢され、様々な国の空を飛んできた。
 その後民間企業に転職、山岳での遭難救助で悪天候の中いくつもの困難な救助を成功させ伝説を残す。
 後進の育成も終え、堂々の勇退、定年となったが、その技量を惜しまれたICSSSAの堂島常務のたっての意向によりICSSSAに再就職となった。

 サングラスにタバコといかにも気むずかしくておっかないオッサンという外見だが、サングラスはフライト中に眼を守るためであり、話してみれば、信州そばと日本酒と孫の話題で一日中しゃべっていられる気さくなおじさんである。
 メンバーの信頼は厚く、脱出任務に際しては「合流ポイントまで戻っておやっさんのヘリの音が聞こえてきたら勝ち確」「マジ救いの天使」とのコメント多数。

【スキル】
『ヘリ操縦』
 素晴らしい練度のヘリ操縦技術。
 災害出動や負傷者の搬送においてはいち早く現地に駆けつけ、悪天候や火災の上昇気流の中ピンポイントで降下、進入を決めるのは、「マジもんの神業」(ICSSSAメンバー談)とのこと。
 ICSSSAには自衛隊や民間から引き抜かれた優秀な若手パイロットが何人かおり、当初は彼のことをロートル、年寄りの冷や水と見なしていたが、現場での働きを見てその認識を一変、現在は業後に弟子として講義を請うている。
カテゴリー:設定資料_キャラ名鑑 | タグ:
|コメント(-) |トラックバック(-) | 2016年11月16日 (水)03時29分

登録社員名簿:083 『形見草』柊 由布

「貴女にはもっと美しく、素晴らしい人生を歩む権利があるのよ」

【名前】柊 由布(ひいらぎ ゆう)
【通り名】『形見草(クリサンセマム)』
【所属】フリー(複数社と業務提携)
【年齢】27歳
【容姿】自信に溢れた美人
【正業】ネイルアートサロン経営
【経歴】
 祖先にドルイドを持つ、魔術師の家系に生まれた女性。
 中学生頃までは内向きで野暮ったい性格だったが、ルーン魔術の修行のため送り出されたイギリスで、師匠から「魔術を扱うためにはまず己に自信を持て」と化粧やファッション礼儀作法その他、美のイロハを叩き込まれ、魔術師としても女性としても大きな成長を遂げる。
 日本に帰国してからはネイルサロンを起業し一人でも多くの女性に美と幸せをもたらすべく営業を開始。
 魔術の力を織り込んだ化粧術と、彼女自身のデザインセンスが評判を呼び、ここ数年で大きな話題となりつつある。

【スキル】
『幸運のネイル』
 複数のルーン文字を巧みに意匠に織り込んだネイルアート。
 身につけることでいくばくかの幸運を呼び寄せることが出来る。
 豊穣、勝利、愛情などのルーン文字で構成され、特に意中の人の愛を得ることに多大な効果を発揮する。
 効果の持続時間はネイルアートを落とすまで、もしくは由布が込めた魔力が切れる数日間。
 いわゆる付け爪でも効果を発揮するが、その特性上、対象の爪に直接描き込む方が格段に効力が高い。
 「恋愛が叶うネイル」として口コミで評判が広がり、女子達はここ一番という時に彼女の店を訪れ施術を受ける。
 その様はまさに戦化粧を宿して戦場に赴く古代ケルト戦士のごとくと言われる。

『封魔のネイル』
 閃光、矢避け、めくらまし、火矢など、初級の魔術をルーン文字として刻みつけるネイルアート。
 魔力を込めるのは由布自身のため、魔術の心得がない者でもキーワードを唱えるだけで魔術を使うことが出来る。
 一回使用するとそのネイルは剥がれてしまう。
 CCCなど各社の依頼を受けて、新人エージェントの予備武装や依頼人の護身用として施術を行っている。
 現在も依頼を断ってはいないが、本業のネイルサロンが多忙となっているため予約を取るのがかなり難しくなっている。
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|コメント(-) |トラックバック(-) | 2016年11月16日 (水)02時42分

登録社員名簿:082 『入道坊主』留守 春馬

「正社員になったら、ローンを組んで家を買って、みんなを呼びたいです」

【名前】留守 春馬(るす はるま)
【通り名】『入道坊主』
【所属】ICSSSA
【年齢】15歳
【容姿】木訥な少年
【正業】高校生/ICSSSA見習い
【経歴】
 農家の次男坊。
 先祖に妖怪『入道坊主』を持つとされ、隔世遺伝で特にその力が強く発現。
行く末を心配した家族から箱入り扱いされ、当人も控えめでおとなしい性格に育った。
 しかし天災により家族が田畑を失い、仮設住宅で暮らすことになった事で一念発起、上京。
 社会的信用のあるICSSSAの正社員となって家族を支えることを目指す。
 ICSSSAは(当然ながら)18才未満を採用しておらずあくまでもアルバイト扱いだが、彼の境遇に感じ入った上司のアレやソレやが何くれとなく便宜を図っており、現在はICSSSAのバイト兼定時高校生という立場になっている。

【スキル】
『入道坊主』
 身の丈三メートルを超す坊主の妖怪として伝わる力。
 実際には水蒸気を身にまとい体を大きく見せる異能であり、今のところ彼は巨人の姿を取って相手を驚かす程度が限界。
 しかし鍛え方次第では水蒸気を嵐に変じて突風や稲妻を巻き起こしたり、あるいは密度を増して本物の巨人のように敵を殴りつける能力に成長することが予想される。
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|コメント(-) |トラックバック(-) | 2016年11月02日 (水)00時52分

登録社員名簿:081 『三文神父』斯波 三白

「大丈夫です!神の国は君たちみたいな子のためにあるのですから!」

【名前】斯波 三白(しば みしろ)
【通り名】『三文神父』
【所属】はなまるフードケアサービス
【年齢】27歳
【容姿】うさんくさい眼鏡イケメン
【正業】神父
【経歴】
 都内某所、それなりに由緒ある小さな教会の神父。
 先代の推薦を受け若くして教会を一つ任された、容姿端麗、信仰心に厚く、透き通る美声で日曜日の礼拝では近所のお母様方のハートをがっちりつかんではなさない青年神父……とは表の顔。
 その本性は重度の美少年偏愛主義者で、神父を志した動機も「独身男性で可愛い子と居ても世間的に怪しまれないから」という人間の屑である。
 とは言え当人の自己申告によるとYES美少年NOタッチを貫いているとのことで、後ろ暗い事はなくあくまで眺めて愛でるのが王道とのことである。

 通常の神父の仕事とは別に、教会の裏の仕事として悪魔祓いを請け負う。
 本来は聖職者としての活動であり無報酬であるが、より多くの悪魔憑きに苦しむ人を救うため、はなまるFCSに登録し、派遣ボランティアとして各地に赴いている。
 彼の教会は子供達の防犯駆け込み寺でもあり、彼が保護した少年少女を契機としてはなまるFCSの仕事が発生する事もままある。
 温厚かつゆるい雰囲気の斯波だが、こと子供達へ虐待を加える者達に対しては一切の容赦をせず、『悪霊もドン引きするほどの』苛烈な制裁を加える。
 聖職者のくせにどこぞの吸血鬼と「シンパシーを感じ、かつジャンルがかぶらない」との事で良くつるんでいるらしい。

【スキル】
『外法悪魔祓い』(アンフォーギブン・エクソシズム)
 彼が所属する宗教では本来認められない邪悪な手法による悪魔祓い。
 斯波は先代の神父から密かに『悪霊』を引き継いでおり、その邪悪な力を以て人にとりついた悪魔、悪霊を引き裂き喰らう。
 『悪霊』は強力で、本来は敬虔な信仰心により神の御名で屈服させ使役するが、もともと信仰心が薄いくせに素質は桁外れの三白とは気が合うらしく、実践では相棒じみた戦い方を採る。
カテゴリー:設定資料_キャラ名鑑 | タグ:
|コメント(-) |トラックバック(-) | 2016年11月01日 (火)22時57分

人災派遣のフレイムアップ 第7話 『壱番街サーベイヤー』 21

 研究棟を出たおれ達は、キャンバスを大きく回り込んで、公園と一体化している遊歩道を歩いていた。ちょうど建物の裏口に沿って移動する形となり、にぎやかなキャンパスの裏の顔、ゴミの山や廃棄された看板がさらけだされている。
 研究棟と倉庫は、キャンバスを挟んで丁度反対側。向かう道は幾通りもあった。
 その中で最も人目につかず、それで居てそこそこ道幅の広い道を選んだのは、同行者達に対するおれなりの配慮というものであった。
「……気づいたの?」
 歩きながらさりげなく肩をよせ、ささやく真凛。おれも速度を落とさぬまま、肩をすくめて鷹揚に応じた。
「まさか。おれに気配なんて読み取れるわけないだろ」
「それじゃあ」
 気配は読めなくても、相手の考えなら読み取れる。
「『鍵』の在処はつかめた。都内で人目を気にせず襲いかかれるチャンスはそうない。事務所に逃げ込まれてしまえばアウト。多少のリスクを侵してもここは打って出るべき――そんなところだろう?」
 振り返らずに後ろへ声を放る。程なく街路樹からするりと、スーツ姿の油断ならない美女が滑り出た。
「ドーモです、亘理サン。マタまた会えて嬉しいなのデス」
「どうも、美玲さん。一応気配読んでみようと思ったんですがねえ。まったく感じ取れませんでしたよ」
「貴女は、空港の……ッ」
『ご機嫌麗しゅう皇女殿下。ほんの一日ぶりですけども』
 艶やかに笑う美女。その視線が捉えるは銀髪の皇女。素早く真凛が割って入り壁となる。
「ってことは、颯真も来てるってことだよね!」
「サテ、どうデショ?今日はお休みカモですよ?」
 あたりを見回す。街路樹、キャンパスの建物、金網、植え込み、街灯。だが美女とつるんでいるはずの獰猛な青年の姿はない。
「前回はアナタタチ待ち伏せデシタからね。今度は少し焦らシタイのことよ」
 一定の距離を保ったままの美玲さん。真凛が突撃して皇女の護衛ががら空きになったところに颯真が不意打ちをかけてきたら厄介ではある。あるのだが。
 おれはしばらく考えて――真凛にアイコンタクトを送る。頷く真凛。
「そうかそうかあ。いやはや参った、雷名轟かす若き侠客、『朝天吼』も所詮は横浜ローカル。東京の裏社会に君臨する『竜劉殺し』と拳を交えるのを避けるは賢明、これぞまさしく書生の――っとあっぶね!!」
 中空に放ったおれの挑発は、上空に茂る銀杏の木から瀑布のように落ちかかったブ厚い斧刃脚によって遮られた。当たって居ないはずなのに、頭髪が数本舞い、額の皮が薄く裂ける。
「誰が誰から逃げたと?」
 斧刃脚、右脚を宙にまっすぐ突き出し、左脚を深く折り曲げた片足立ちの体勢のまま、毫も構えを崩さず青年……劉颯真は冷たく言い放った。
「ふふん、まだまだだなあ颯真、せっかく美玲さんが不意打ちの陣を敷いたってのに、肝心のオマエが安い挑発一つで算を乱してどうする」
 おれは軽口を弄しつつ、真凛の代わりに皇女のガードに。冷静さを奪うべくなおも挑発を繰り返そうとしたが……叶わなかった。目の前の青年の放つ、凍てつく殺気によって。
「……なに、貴様相手に不意打ちなど最初から成功するとは思ってはおらん。美玲の顔を立てたまでのこと」
 ぎりぎり、と音が聞こえる。幻聴ではない。呼吸により練り上げられた内勁に応じ、奴の深層部の筋肉が 静かに圧縮され力をため込んでいるのだ。――さながら、重い橋脚を吊り下げるスプリングのように。
「策は美玲がどうとでも取り繕う。我が為すべき事は――」
 あ、やべぇな。おれは内心舌打ちした。挑発が効果を持つのは迷いを持つ奴、選択肢を持つ奴だ。最初からやるべき事を一つと決めている者には――
「真凛!」
 おれの声なぞ、とうに戦闘モードに入っている女子高生の耳には届かない。
「貴様と雌雄を決する事よ!!」
 バネが弾けた。
 昨夜の『南山大王』と同様に力強く、だがそれよりも遙かに静かに、氷上を滑るように。

 四征拳六十五手の四十一、『揚水如竜(かいしょうはりゅうのごとく)』。
 
 三十七手より先の四征拳は、その姿をいささか変える。
 それまでは『沈墜勁』―ーすなわち鬼すら踏み砕く大地の気、その反動として衝き上がる天の気を産み出し、炸裂させる技法を主とする。
 だがそれより先は次なる段階。
 膨大な天の気を炸裂させるのではなく、己が身に纏いて東西南北縦横自在に拳を、腿を、靠を叩き付ける神速の身体運用――すなわち『十字勁』。

 劉颯真はその位に達したのだ。

「……くっ……」

 真凛は身構える。だが。

 銃弾を避ける回避が、『南山大王』の超音速の突撃すら斬って捨てたカウンターが間に合わない。
 否、応じきれない(・・・・・・・)。それは単純なベクトルではない。神速でありながら意思を持ち、着弾のその瞬間まで真凛を狙い、補正し、護りを貫きかいくぐる魔性の拳。

 まるで迫撃砲で打ち出された水銀のごとく。
 異常な疾さ、重さ、滑らかさを伴う崩拳。

 轟音。

 おれは信じられない光景を見た。胸部に致命の打撃を叩き込まれ、宙を吹き飛ぶ七瀬真凛の姿を。
カテゴリー:_小説7話 | タグ:
|コメント(-) |トラックバック(-) | 2016年10月28日 (金)00時05分

登録社員名簿:080 『黄金眼の』オーベット

「にゃあ♪にゃあ♪(ま……稼げるうちに稼いでおきますかね)」

【名前】オーベット
【通り名】『黄金眼の』オーベット
【所属】拝崎芸能プロ(オズプロ)
【年齢】4歳
【容姿】金色の眼を持つシャルトリュー種の猫
【正業】ペットタレント
【経歴】
 成人並の知能を持つ天才猫。
 キャットフードのCMや映画、テレビに多数出演する拝崎のドル箱アイドルであり、事務所に入ったばかりの下積みの異能力タレント達が十人分の月収を束にしても、彼が一日のCM出演で稼ぐ金に届かなかったりする。
 このため、拝崎では無駄遣いで生活費がピンチになってしまった異能力者達が、猫に土下座して借金をするという光景がしばしば見られる。(そしてまず借金が認められることはない)
 言葉をしゃべることは出来ないが、思考を他人に伝えたい場合はキーボードやスマホでの文字入力、モールス信号などで済ませている。
 プロらしく報酬にはかなりシビア。「担当マネージャーの上に辣腕のプロデューサーがいて、ネット上で出演交渉をサポートしている」という体を取っているが、実際は彼自身が交渉をすべて行っている。
 彼が有り余るほどの報酬を何に使っているのか、事務所の同僚達もほとんどが知らない。だが賢い彼は、自分という存在の商品価値はそう長く続くものではなく、今しか稼げないということを弁えているのだ。


【スキル】
『ストイック・アクター』
 プロの役者としての魂。
 普段の彼の性格は誇り高い猫そのものであり、事務所内では非常に高慢に振る舞うが、ひとたび現場に入れば、スタッフの指示を完璧に聞き分け、脚本の行間や役者の演技プランすら理解し完璧な演技を行うため、プロの役者としての信頼を各方面から得ている。
カテゴリー:設定資料_キャラ名鑑 | タグ:
|コメント(-) |トラックバック(-) | 2016年10月22日 (土)20時11分

登録社員名簿:078 『黒死病』

「みんなみんなネズミのえさになればいい」

【名前】失伝
【通り名】『黒死病』
【所属】聖フィロフィティア
【年齢】2000歳前後と推定
【容姿】貧相な体格の少年
【正業】聖フィロフィティアの囚人
【経歴】
 吸血鬼。
 過去に国家や大陸を幾度も絶滅の危機に陥れたねずみ達の王。
 凶悪な力を誇る古種吸血鬼達の中でも頭一つ以上飛び抜けた、人類という種そのものの天敵。
 永遠の命を持ち、おおよそ二千年の間に覚醒と眠りを繰り返しながら、世界の人口を数割減少させるほどの病をばらまいてきた。
 その容姿は原初の発症者となった古代都市の最下層貧民の少年。
 貧困にむしばまれ、その日の食事と寝床にしか思考を割く余地のなかった少年の自我は最初の数年でとうに摩滅し、以後は吸血鬼の本能のままに疫病をばらまくだけの存在となりはてている。
 十四世紀の大流行の際に、世界中の『力ある者』達が集い力を合わせ、この魔物を調伏し捕らえた。
 この時に結ばれた絆が大航海時代の際に発展し、聖フィロフィティアの母胎となった。
 殺すことは出来ても滅することは出来ないため、現在は聖フィロフィティア本部の最深部に厳重に封印されている。
 その力が完全に根絶される日は来るのであろうか。

【スキル】
『疫病のあるじ』
 黒死病の蔓延。どこからともなく無数のネズミの群れを召喚し、対象を感染させる。
 現在自然に存在するそれよりもはるかに感染力と症状の進行が強く、能力者でも二~三回噛まれたら即死するレベル。
 近現代の国家であろうと三日で死滅させる最悪の能力。

『吸血鬼の血』
 自我を失い群体の概念となる事で獲得された永遠の命。
 凶悪きわまりない攻撃力とは反対に、当人の近接戦闘力や防御力、体力は器となっている少年そのもの。
 タフな異能力者が相打ち覚悟で特攻すれば殺すことは可能。
 しかし数年、あるいは数百年後に、世界のどこかにまったく同じ容姿を持った少年が再び現れ、疫病をばらまきはじめる。
 彼を完全に根絶するには、黒死病という病そのものを世界から根絶させなければならない。
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|コメント(-) |トラックバック(-) | 2016年10月22日 (土)00時43分

登録社員名簿:077 『メイド長』 エミリー・スペンサー

「日雇いと言えどメイドを名乗る以上、半端な仕事は許されないのです」

【名前】エミリー・スペンサー
【通り名】『メイド長』
【所属】CCC(講師)
【年齢】聞けるわけないですぅ(生徒談)
【容姿】近づきがたいオーラを放つアッシュブロンドの美女
【正業】ハウスキーパー(現:CCC特別講師)
【経歴】
 英国貴族レイヴァース家に代々仕えた使用人一族の末裔。
 レイヴァース家は王家の密命を受け歴史の影で活躍する役目を与えられており、エミリーも幼い頃からメイドとして仕え、やがてはメイド達の長として表と裏あらゆる場面において主家のサポートを努めた、『メイドの達人』。
 主家の代替わりにより任を解かれた後、元主人の「後進を育ててほしい」という強い勧めによりCCC家政婦派遣部門に講師として招かれた。
 現在は、萌え要素をつまみ食いして作られた日本のメイドのイメージを払拭すべく、日々奮闘中。
 「本格メイドとして働けます」という言葉に釣られコスプレ気分で気軽に家政婦部門を志望したCCCの女性陣は、本場の奉仕精神と礼儀作法を短期間のスパルタでたたき込まれる羽目になる。
 生徒達からは『メイド長』と呼ばれているが、本人に言うと「そんな役職はそもそもありません」と怒られてしまう。

【スキル】
『当意即妙』
 主人をサポートするメイドとしての技術。
 言われた仕事をしているうちは三流。機転を利かせて賢しげに振る舞ううちは二流。空気のように己の存在を消し、主人に良い結果のみを届けてこそ一流である。

『日々努力』
 主のために常に新しい知識、技術を短期間で身につける姿勢。
 主が旅行に行くときは旅のルートや現地の情報を完璧にマスターし、毒使いと戦うときは医学薬学を完璧にマスターし、敵の拠点に空挺降下するときはヘリの操縦技術を完璧にマスターする。

『一般技能』
 『日々努力』の結果、現在エミリーがメイドとして修めている一般技能。
 掃除、洗濯、料理、語学、医学薬学、社交儀礼、銃器全般、CQC、株価操作、車両航空機の運転整備他多数。
カテゴリー:設定資料_キャラ名鑑 | タグ:
|コメント(-) |トラックバック(-) | 2016年10月02日 (日)16時21分
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