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設定TIPS:竜の名を冠する者たち

 太古より人類は、『竜』というものをひどく恐れてきた。
 
 洋の東西を問わず、神話や英雄譚の仇役として登場する怪物が『大蛇』や『竜』であるという事実は誠に興味深い。
 もしかしたらそれは、人類の祖先がまだ地を這う小動物だった頃に遺伝子に刻まれた、巨大な爬虫類への畏れの発露なのかも知れない。
 
 派遣業界において、多くのエージェント達は独自の『二つ名』を持つ。
 『二つ名』の由来はそれぞれ、仕事を請け負う際の便宜上のハンドルネームであったり、敵や同僚からつけられた称号、あるいは蔑称であったり、はたまた己の力を誇示するための自称であったりする。

 だがしかし。
 本当に恐ろしい、凶暴な能力を持つ者に対しては、人々は自然と神話の時代より受け継がれた畏怖の称号を与えるようになった――すなわち、『竜』を。
 『竜』の称号を持つエージェント、それは誰の目にも明らかな圧倒的な『暴力』を所有する者達である。
 仮に任務で遭遇したとすれば、極力戦闘は避けるべき。一対一の戦いなどは以ての外である。
 逆に、だからこそ『竜』と互角に戦う、あるいは倒す事が出来た者は、業界で『竜殺し』の栄誉を与えられることとなる。
 何も知らない新人エージェントが『竜』を名乗ってしまうことも良くあるが、たいていの場合、同業者による熾烈な『竜狩り』によって厳しい現実を思い知らされ、短期間のうちに改名を余儀なくされる。

 現状で『竜』の名を冠されているのは以下の九体。
 いずれもS級、能力、性格共に極めて危険。十分に注意されたし。
 
 
1.太母竜帝/ティアマト マリア
 
出現地域:北アメリカ~地球圏ならどこでも
出現頻度:ごくごくまれ
知能:きわめて高い
危険度:きわめて高い
態度/一般人:愛すべき対象
態度/能力者:愛すべき対象
領域:戦闘S/戦術S/戦略S
 
 『始原の竜』『混沌の母』『純血のテロリスト』とも呼ばれる超危険人物。
 年齢不詳の美女ということ以外、その正体、能力は謎に包まれている。
 小国の革命や紛争地帯等に姿をあらわし、ただひたすら『長期化、泥沼化するように』干渉する。
 単体の戦闘力でも極めて危険だが、時にはテロリストのリーダー、大企業の顧問などをつとめ、戦局や国際情勢すらも操作する、エージェントの枠を大きく越えた人物である。
 二十世紀前半からしばしば彼女と思われる存在が歴史の端々に登場しており、人間以上の寿命を持つ能力の持ち主、もしくは記憶を継承する能力者ではないかと噂されている。
 
 紛争地帯に出没することから他の『竜』達と遭遇する事もあった模様だが、いずれも他の『竜』が彼女との衝突を避けていることから、九の竜の中でも別格の存在であると思われる。
 
スキル:
 不明。数少ない目撃証言をそのまま統合すると、電撃、炎、氷、地震を操り、軍人としてのスキルを併せ持ち、精神操作を得意とし、国際情勢を操る程の知性と権勢を持ち、魔術すら操る事になってしまうのだが……さすがにそれは見間違い、もしくは複数の能力者を彼女と取り違えているのだろうとされている。
 
 
2.毒竜/ファフニール モルデカイ・ハイルブロン
 
出現地域:欧州、北アフリカ、紛争地帯
出現頻度:まれ
知能:人間並
危険度:高い
態度/一般人:餌、奴隷
態度/能力者:叩き潰すべき敵、暇つぶしの相手
領域:戦闘S/戦術B/戦略-
 
 あまりの凶暴さで悪名を轟かせた傭兵。
 その正体は遺伝子の突然変異によって生まれたミュータントであり、人類の枠を越えた暴力の所有者である。
 暴れたいからという理由で傭兵となり、各地の戦場で猛毒のブレスを吐き散らし、屍の山を築いてきたことから『毒竜』の名を冠された。
 傭兵から人材派遣会社海鋼馬公司に転籍し、やはり悪名を轟かせたが、日本での任務ののち消息不明となっており、業界では死亡説も流れ始めている。
 
スキル:
『ドラゴンブラッド』
 突然変異による超人的な身体能力。
 筋肉のみならず爪、骨格も規格外の硬度をそなえており、巨体から繰り出される攻撃は凄まじいの一言。全力を解放した場合は骨格が変形し、竜人とも呼ばれる形態となる。

『ドラゴンブレス』
 体内に備わった毒腺から分泌された猛毒と呼気を肺で圧縮し、猛毒のガスを吹き出す。
 この毒はエージェントでも微量を吸い込んだだけで死に至るほど強力であり、ブレスを無差別に吐きだし始めたらもはや生身の人間には手に負えない。
 強力な戦闘能力を持つエージェントを複数揃え、防毒を万全にしない限りまともに戦える相手ではないだろう。
 
 
3.三頭竜/アジ・ダハーカ カシム・ジャネード
 
出現地域:中東、中央アジア、紛争地帯
出現頻度:まれ
知能:人間並
危険度:高い
態度/一般人:破壊対象
態度/能力者:破壊対象
領域:戦闘S/戦術B/戦略-
 
 元傭兵。思想や宗教背景は全くと言っていい程ない。
 かつては報酬次第で自分の生まれた村や礼拝堂ですら焼き払うと恐れられていた。
 代々の炎を操る呪術師の家系であるが、彼自身はその家系でも炎の霊に『近すぎた』とされ、炎を操るというより炎と同化する戦い方を好む。
 性格、能力双方が原因で、一族の厄介者として扱われていたようである。
 傭兵のキャリアを経て、多額の移籍金により新興の派遣会社『モノクローム』へ移籍した。
 東京湾での死闘にて人材派遣会社CCCのエージェント四人に敗北し、しばらくなりを潜めていたが、最近になって活動を再開したとの情報がある。
 
スキル:
『三頭竜の吐息』
 右手、左手、口から、爆発を引き起こす巨大な火球を吐き出す。最大で三発同時に発射する事も可能。
 
『炎の鱗』
 延焼により周囲の温度が上昇するにつれ、彼の肉体は変質し、炎に包まれてゆく。全力を発揮した際には、全身が炎に包まれ、そこから突き出した首、両腕が、まさしく『三頭竜』のシルエットを為すという。
 
 
4.屍喰竜/ニーズヘグ G・ミキザキ(と思われる)
 
出現地域:オーストラリア~南米
出現頻度:まれ
知能:人間並み
危険度:高い?
態度/一般人:不明
態度/能力者:不明
領域:戦闘A?/戦術A?/戦略-
 
 元は戦場で活躍した傭兵らしいが、彼についての情報は驚くほど残っていない。
 それもそのはず、彼が参戦した戦場では、必ずと言っていいほど凄惨な潰しあいが発生し、敵も味方もほとんどが死んでしまうのである。
 小規模のゲリラ戦の場合はまず確実に――彼以外の――両軍全滅。正規軍が参戦する大規模な戦闘でも、両軍の兵士の死亡率は90%を越えるとされる。そしてそんな中、彼だけはなぜか不気味なほど確実に生き残るのである。
 
『ヤツと同じ戦場に立ったら生き残れない。敵も、味方も』
『ヤツは戦場で死体をむさぼり食って生き延びているんだ』
『あいつは兵士の死体を喰うために傭兵をやっているんだ』
 
 それが兵士達の骸を喰らうとも噂され、畏怖の証『竜』の二つ名を受けるに至った『屍喰竜』の戦場での評価である。彼が傭兵を引退し海鋼馬公司に所属したことは、派遣業界でも大きな脅威として受け止められている。

『スキル』
 上記の理由のため、未確認。
  同社に在籍する『毒竜』同様、無差別に周囲を攻撃するスキルと推定される。
 
 
5.飢嵐龍/ヴリトラ 本名不詳
 
出現地域:西アジア~南アジア~東南アジア
出現頻度:ごくまれ
知能:人間並み?
危険度:高い
態度/一般人:無関心
態度/能力者:無関心
危険領域:戦闘-/戦術S/戦略A
 
 アジア地域にごくまれに出現するエージェントだが、詳細は判っていない。
 確実な事実は、『天候を操る』能力を持ち、出現した際は必ず大災害を周囲に引き起こすということである。
 数年前にインド-パキスタンの国境地帯に出現した際には、緊張状態の両軍、および周囲のキャンプ、村まですべてを暴風で跡形もなく吹き飛ばしてしまった(この事実は両国によって隠蔽された)。自然の脅威そのもののともとれる力に、いつしか人々はインド神話の荒れ狂う竜、『ヴリトラ』の名を冠した。
 
スキル:
『嵐』
 恐らくは気圧を変化させる能力と推定される。
 彼(?)の出現後数十分で彼を中心とした竜巻が発生。さらに時間経過によって暴風雨、台風へと発展する。
 この状態では彼の周囲に暴風、砂塵、雷が吹き荒れ、戦車や飛行機さえも風で舞い上げられてしまう。エージェントが戦いを挑もうとしても、そもそも近づくことすらかなわない。ミサイルですら風に阻まれ彼には届かなかった。
 最終的には気候に影響を与える程の巨大台風を巻き起こし、国家レベルの被害をもたらす。もしも彼と戦わなければならないとすれば、地底深くにでもおびき出すか、台風が発生する前に叩くしか無いだろう。
 
 
 
6.魂喰竜/アポピス 本名不詳
 
出現地域:アフリカ大陸~地中海、中東
出現頻度:まれ
知能:きわめて高い
危険度:きわめて高い
態度/一般人:実験対象
態度/能力者:貴重なサンプル
危険領域:戦闘B/戦術B/戦略B
 
 生粋の呪術師にして狂人、タガの外れた求道者。
 他の『竜』達の力がどちらかと言えば先天的な能力、肉体に基づいたものなのに対し、彼(?)のそれはあくまでも研鑽と努力の果てに辿り着いたものである。
 洋の東西を問わず数々の邪法、禁呪に精通し、しかもそれを一般人に向けることを微塵も躊躇わない。アフリカ大陸の民族紛争と飢餓に関与し、間接的にとは言え数十万人の犠牲者を出したことから、忌むべき邪竜の名を冠せられた。
 正統派の魔術師達からはもちろん忌避されている。この手の左道の徒は大抵、左道であるが故に真の高みには到達できないものであるが、彼はあくまでも左道で在り続けることで一つの魔道を体現している。
 
スキル:
 『呪術』
 無数の呪術を極めて高い練度で使いこなす。このため、『できること』に関しては万能に近い。能力のインパクトこそ他の『竜』には及ばないが、謀殺や情報戦も含めればその危険度はとびぬけて高い。
 
 
7.共工/ピラーブレイカー 宋曄
 
出現地域:中国大陸~中央アジア
出現頻度:まれ
知能:高い
危険度:高い
態度/一般人:国籍による
態度/能力者:所属による
危険領域:戦闘B/戦術A/戦略A
 
 
 九の竜のうち唯一、所属が明確なのがこの共工である。
 アジア方面で中国の民族独立運動を展開する天才テロリストであり、いくつかのセルグループを統括。
 時折都市部に出現しては、数々のテロを成功させている。
 ビルの爆破、インフラの寸断はもとより、ゲリラ戦やサイバーテロも行い、多大な犠牲者を出したことから、中華文明の大敵たる共工の名を冠せられた。

 元々は政治を志す学生だったが、政治活動の弾圧を受けて地下に潜り、テロリストとなったと推定される。
 学生運動時代はそれほど傑出した存在ではなかったが、皮肉にもテロリストとなってから戦士、指導者としてのずば抜けた才能が開花した。
 今では他の地域の幾つかのテログループと連携し、ネットワークを作りつつある。海鋼馬やモノクロームといった派遣会社にも提携を持ちかけており、一般・派遣業界を問わず、危険な人物としてマークされている。

スキル:なし
 驚くべき事に、彼は能力を持っていない。強いて言うならば『テロの達人』。
 彼の武器はあくまでもテロリストとしての己のスキルと、ネットワークの力である。
 彼の元には何度となく異能力者の刺客が差し向けられたが、いずれも彼の張り巡らした罠や計略の前に敗北を喫している。
 一般兵やゲリラ達を上手く運用して強力な異能力者を倒してのける、異能殺し。
 
 
 
8.八岐大蛇 穂村辰真(ほむら たつま)
 
出現地域:日本
出現頻度:普通
知能:人間並
危険度:普通
態度/一般人:お客様
態度/能力者:同僚、ライバル
領域:戦闘B→S/戦術C→A/戦略-
 
 人材派遣会社CCC営業一課長。
 普段は温厚なサラリーマンだが、その正体は業界でも最強レベルの熱の使い手。
 CCC社長は『私が人生の選択肢を謝った時、世界でも最悪のエージェントになる男』との意味深なコメントを残している。
 サラリーマンとしては上下ともに信頼があり意思疎通の図れる、優秀な中間管理職である。
 通常は力をセーブしているため、並の能力者と大差がない。
 だがひとたびその能力を発揮した場合、紛う事なき『竜』としての力と本性が発揮されることとなる。
 
 
スキル:
『加熱』
 周囲のものの温度を上げる、ただそれだけの能力。ただし、限界がない。
 通常任務の際は手に持った鉄パイプを加熱して攻撃力を上げる程度にしか使われないが、『竜』としての本性を発揮したときは、彼の踏みしめる地盤は溶岩と化し、大気は近くで呼吸するだけで肺が焼けただれるほどの熱を孕む。
 火に耐性のないエージェントでは、生ける溶鉱炉と化した彼の間合いに入る事すら出来ず全身火傷を負ってしまうだろう。
 攻略法としては、熱の影響を受けない武器による遠距離攻撃が想定されるが、焼けた溶岩を散弾のように浴びせてくるので、攻略は極めて困難である。
 
 
9.九頭怪蛇/ハイドラ HYDRA
 
出現地域:ネットワーク上
出現頻度:高い(ワーム)/ごくまれ(融合体)
知能:無きに等しい(ワーム)/高い(融合体)
危険度:低い(ワーム)/高い(融合体)
態度/一般人:情報源、取り込むべき対象
態度/能力者:排除すべき敵、現実世界へ干渉する手段
領域:戦闘-/戦術C/戦略S
 
 ネットワーク上を徘徊するワームプログラム。
 それ単体ではほとんど無害で駆除も容易だが、とにかく強力な分裂能力を持つため根絶は不可能に近い。
 ネットワークを伝って世界中のあらゆるサーバーやPCに潜んでおり、時々大量発生しては通信回線に過剰な負荷をかけるなどの悪さを働く。
 ネットの住人からは、微少だが高い再生能力を持つところから、無脊椎生物であるハイドラ(HYDRA)の名で呼ばれるようになった。
 
 実はHYDRAの正体とは、ある異能力者のなれの果てである。
 精神をネットワーク上にダイブさせる能力を持ち、凄腕のクラッカーとして恐れられた彼(?)だが、ある事件の際に現実世界に帰還する手段を失い、ネット内に閉じこめられた。
 情報に希釈されてゆく自我を保持しようと、際限なくネット上での自己複製を繰り返して生き延びようとしたがそれも叶わず、今ではかつての知能と自我をすべて失い、ただ生存本能と自己複製だけを繰り返す無数のワームが散らばるのみとなってしまった。
 
スキル:
 『再融合』『再分裂』
 
 通常は『しぶといが無害』のHYDRAだが、ある一定の条件が揃うと企業や研究所のLAN内等で爆発的な繁殖を遂げる。
 これが発生すると同時に、周囲のワーム達が一斉に集結・再融合を果たし、ネットの沼に棲まう不死の怪蛇――ハイドラへと変身。かつての凄腕クラッカーとしての知性、能力を一時的に取り戻す。
 ただしその自我だけは貪欲な生存本能に押しつぶされ、崩壊している。
 分身である世界中に散らばったワームを励起させ操ることが出来るため、その危険度はもはや人類全体の脅威ともなりうるほど。
 『己が生きるため』に、ネットワーク上のあらゆる情報を喰らい尽くそうとし、『己が帰るために』セキュリティシステムや社会インフラを乗っ取って現実世界に頻繁な干渉を仕掛けてくる。
 もちろん本体がネットワーク上に存在する以上、物理攻撃で倒すことは不可能。
 ハッカー達によるサイバー攻撃に望みを託すより他ない。
 また、ハイドラを倒すことが出来たとしても、また無数のワームに戻って世界中に散らばるだけで、根絶することはやはり不可能である。
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コメント(0)トラックバック (0) | 2003年01月09日 (木)15時19分
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