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おまけSS:『忘年会ドランカー』

「グラス行き渡りましたー?あ、割り箸。ハイこれ。お通し?おーい真凛、お前の横にある小皿、仁サンに渡して。カクテル?うっせぇ後でてめぇで注文しやがれ。じゃみんなOK?OK。じゃあ所長、イッパツ挨拶お願いしやすっ」

「やー今年も一年みんなよく働いてくれたねー。期待のルーキー真凛ちゃんも頑張ってくれたし!何のかんのあっても全員死なないで年の瀬を迎えられたし!じゃっ、今日はみんなたくさん飲んで魂を洗濯して!!来年もたくさん働きましょうっ!かんぱーい!」

「「かんぱーい」」

 グラスがあちこちで打ち鳴らされ、おれが所属する人材派遣会社『フレイムアップ』の忘年会はスタートした。
 ちなみに開場は高田馬場の居酒屋チェーンで、たくさん飲んでも会費は変わらないというお手頃ぶり。
 下の階では学生グループが一気コールをやっているらしく、騒がしいことこの上ない。
 開始三十分もするとアルコールとニコチンと喧噪で満たされていくのが飲み会の席というもの。
 換気扇そばの席で黙々と、というかモクモクと煙草を吹かし灰皿に山を作り続けるチーフと、その向かいで同じく煙草を吸いながら壁に話しかけて高笑いをしている羽美さん。
 二人の間に剛突の割り込みをかける来音さん。
 その様を見やって冷笑する直樹。
 年末のイベント帰りで合流したのでそのカバンはまたアレなグッズでぱんぱんだ。
 仁サンは悪ノリしてパンツ一丁で女の子の店員さんにポージングを見せつけて……ってそりゃあセクハラだろあの筋肉ダルマ。
 その中で盤石の揺るぎなさで静かに料理を味わうのは桜庭さん。
 どうも所長と真面目な話をしているらしい。
 あとなんか視界の端で直樹が来音さんにマッスルリベンジャー(五大邪神ver)をかけられていた気もするが、たぶん幻だ。幻だってば。
 と、所長が手ずからビールを注ぎに来てくれた。

「亘理君幹事お疲れ様~。でも未成年なのに飲み会の仕切りが上手いってのも考えモンよねえ」

「この一年で仕切る力は鍛えられたんで」

 儀式的に酒を注ぎ合いグラスを飲み干す。

「やっぱ君をスタッフにして良かったわぁ」

「ほめても何も出ませんよ」

「ふふ、違うわよ。君って、人から命令されたらそれをこなすだけだけど、裁量を任されたら絶対手を抜けないタイプじゃない?だからやっぱ現場を任せて正解、ってワケ」

 ……読まれてるなあ。頭を掻くおれ。所長はそのまま他の人にビールを注いでまわる。

「それでそれでそれで。真凛さんとの仲はどこまで進んだんですかぁ?」

「い、いきなり耳元でささやかないでくださいよ来音さん」

 その顔の近さはヤバイですって。ていうか何を言い出しますかこの人は。

「あれだけ一緒にいるのに。いい加減にはっきりしてくれないと、そばで見ている方は面白くないですよぉ?」

「だから何の話ですかいったい」

「え、なんかボクの話してるんですか?」

 末席の真凛が聞きつけた。ええい、これ以上話をややこしくするな。

「あー真凛ちゃんー飲んでますー?」

「あの来音さん、ボク未成年で烏龍茶を、」

「大丈夫大丈夫大丈夫。未成年が禁酒なんて日本くらいのものです。海外なら問題ないんですよー」

「来音さん!もう酔ってるんですか?」

「ぜーんぜん酔ってませんよー?あはは」

「ああ、よくわかりました。ところで来音さん、ほら、あちらでチーフと羽美さんがいい雰囲気ですねー」

「――アノ脳爆メガネ。コロス」

「……屋内で核爆発はやめてくださいね」

 奥の席へ這い寄っていく来音さん。

「……あの人がお酒に弱いとはなぁ」

「ていうか、みんなスゴイよね……」

 む。真凛のヤツ、この席では微妙に萎縮しているな。

「ってああ。もしかしてお前こういう飲み会は初めてなのか?」

「うん。うちの人達はあんまりお酒飲まないんだ」

 ああ、そりゃあ正解だな。
 実はこいつ、飲むととんでもなく酒癖が悪い。
 そのうえ当人はまったく覚えていないあたり最悪である。
 一度おれもひどい目にあった。

「でもせっかくだし。飲んで、みようかな?」

「やめとけって」

 真凛の頭に掌を置いて首を振る。

「大事なアシスタントが補導されたら困る」

 ん?なぜか真凛がびっくりしたようにこっちを見ている。何か失言でもしたかねおれ。

「……うん。じゃあ今日は烏龍茶だけにしておくよ」

「ああ。ホレ、これ飲んどけ」

 テーブルに置いてあった烏龍茶のグラスを渡す。真凛は酒も飲んでないのに、妙に嬉しげにグラスの中身に口をつける。変なヤツ。

 ……うぅむ。なぜ忘年会なのにこうも気を張っていなければならんのだろうか。おれは一つ頭を振って、店員さんに次のドリンクを頼んだ。

「このバイトも、もうすぐまる二年、か」

 長かったような、早かったような。

「いろんな人にも会ったなあ」

 こんなメンツと仕事をすることになるとは思ってもいなかった。つくづく人生というのはわからない。まして、おれが他人の面倒を見ることになるなど完全に想像の埒外だった。ずっと独りでやってきた身には、重荷以外のなにものでもないと思っていたのだが。

「……ま。来年もよろしくな!我がアシスタント」

「ねえ」

 ん?妙にけだるげな声。思わずふり返って……おれは絶句した。
 真凛の人差し指と中指が、おれの眼前に突きつけられていた。

「眼窩に指をつっこんでも、いい?」

「いや……ダメだろ」

「じゃ、耳の穴ならいい?」

「だからダメだって!ていうかお前酔ってるな?」

 実はこいつ最悪なことに、酔うと他人に技をかけたくてたまらなくなるのだ。武道家としてそれはNGだと思うのだが。っていうかいつ酒を飲んだんだお前は。

「こ、これ……来音さんの頼んだウーロンハイじゃないかよ」

 真凛のグラスに口をつけ、おれはすべてを納得した。……こうなると、もはや観念するしかない。

「じゃあじゃあ、舌を抜くのならいいでしょ?」

「いやそれあり得ないから。人として」

「えー。じゃ!背中の皮はがすならいいよね!ねえ!逃げないでよ陽司!」

「おい誰か助けろ!助けてください!」

 もちろん各自飲みに夢中な連中は、誰一人助けてくれはせず。おれの一年は、絶叫で〆ることとなったのである。

 ……来年も、良い年でありますように!

200x年 イベント配布テキスト
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コメント(0)トラックバック (0) | 2003年10月29日 (水)15時27分